Research Information

▷ 自己免疫力を高めるために写真を活かす研究(最新)

   本研究は、視覚情報(写真)から得られる「イメージの力」を活用し、高齢社会、高度精神社会で生き生きと生活できることを目指した研究である。スポーツの世界では、繰り返し練習することで競技に最適なフォルムや動作を体に覚え込ませる。その結果、徐々に上達する。また、上手くできたときの成功体験をイメージトレーニングに活用することで緊張を和らげ、平常心と自信を与えたりしている。

   本研究は、このスポーツの体験からヒントを得た。写真を見ることでストレスが緩和されたり、幸せな気持ちになりたいときになるのではないか、気持ちの切り替えのトリガーになるのではないか、と考えた。例えば、赤ちゃんの笑顔や笑顔満面の写真を見たときには、思わず自分もにこやかになる。怒りだす人はあまりいないだろう。好ましい写真を繰り返し見ることは、ストレス社会での精神のバランスをとる方法の一つになるのではないかと考えた。本研究はこのテーマを取り組むにあたり、その第一歩として、「写真を見たときに脳の血流にどのような変化が起きるか」ということを探ってみることとした。


― 研究の方法とこれまでに分かったこと

   写真画像を見た人の脳の血流にどのような変化が現れるかということを測定する。測定装置は(株)島津製作所の近赤外光脳機能イメージング装置を用い、脳内の酸素状態を近赤外光を用いて生体組織のヘモグロビンの状態を測定する。

   上の写真は、近赤外分光法による前頭連合野計測を実施したときの写真である(2007年10月1日〜5日)。これまでに分かったことは、写真は確かに人の脳の血流に変化をもたらすということ、学習効果がみられるということ。被験者が須藤の場合では、景色の一連の写真では血中ヘモグロビンは少なく、笑顔の一連の写真では血中ヘモグロビンが多く流れることが分かった。また同じ写真でも、右脳で反応する人と左脳で反応する人とでそれぞれ違いが出た。


▷ 写真画像によるメンタルヘルスケア(自己免疫力の向上)の研究

  • 写真画像を用いた心理的効用の研究

  「心豊かな生活」を標榜し、写真の持つ効用を明らかにする研究。見る写真の種類によって脳の血流にどのような変化が現れるのかということに焦点を定め、取り組んでいる。

  • 画像入出力装置のデザイン開発

 眼鏡型の画像入力機能(カメラ)とビュワー機能(ディスプレイ)を持つ装置のデザイン開発。音を可視化し、表示する装置として装着感や、画面への表示方法や入出力操作の操作方法を当面のデザイン研究として取り組んでいる。


▷ 福祉機器のデザイン開発

   音を「感じる情報」に変換し、伝達するデザイン研究。図記号や光による視覚表現、振動などによる触覚表現の開発に取り組んだ。2006年から取り組んだこの一連の研究からヘッドマウントディスプレイを屋外で安全に使用するための指針を作成しその制定が必要であることに至った。現在はこの安全指針制定に向けた提案活動を行なっている。


▷ 地場産業のブランド開発への参画(最新)

   和紙布の持つ効用を明らかにし、自然素材を活かした環境負荷のない地場産業育成(ブランド開発)を目指した和紙工房づくりに取り組んでいる。

   2006年から「はんなん和紙の布工房」との研究開発で、高付加価値な和紙の布地を開発している。2009年には山陽製紙株式会社が開発した梅和紙(梅の種を燃やして炭を作り、それを粉末にして和紙に練り込んだ紙からできた糸)を利用してできた生地に加え、これまで取り組んでいなかった新たな風合いの表現の開発に取り組んだ。和紙はセルロースの持つ水酸基などにより親水性が高いことで知られており、他にも親油性などにより天然でできた素材であることから生き物の肌とは相性が良いと言われている。現在、実証実験として浴槽タオル、ワイシャツ、敷布などで私自身が2006年から使用し、その耐久性、色落ち、収縮などを検討している。2014年、2015年と現在は日本の杉や檜の混合間伐材を用いて機械漉きの和紙を作りそれで糸を作る事を目標に研究開発に取り組んでいる。